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【本日の研究】 スティーヴン・グリーンリーフ 『匿名原稿』

【本日の研究】 スティーヴン・グリーンリーフ 『匿名原稿』 _a0035263_136369.jpg<novel>

本日の研材、

『匿名原稿』   
      スティーヴン・グリーンリーフ






私立探偵ジョン・マーシャル・タナーを主人公に据えたシリーズの7作目。'91発表。

タナーの親友である弱小出版社の社長ブライスの元に、作者不明の原稿が届く。それが紛れもない傑作だと直感したブライスに、この作品を出版する契約の為に、独占出版権を得るために、著者が誰なのかを突き止めて欲しい、そして残りの原稿を手に入れて欲しいと頼まれるタナー。
ブライスに長年の借りがあるタナーは渋々引き受けるが・・・



ここで話の肝となるのは、この作者不明の作品、『ハムラビ法典を讃えて』。所謂”作中作”であるこの話、なかなかよく出来た話で。こういう題材の時はいつも思うんですが、なんかそれだけでもう1作作れそうな・・・。なんて、そんなケチくさいことでは生き延びていけないでしょうけどねー、この世界では。とてつもなく斬新なものを提供しない限り、安直な手法では読者は見向きもしないでしょうから。

この出版社社長のブライスもこう言ってます。

   「物語はそれほど目新しいものじゃない。だって、どうせプロットの種類
   なんて、古今東西せいぜい一ダースほどしかないんだからね。
   どんな物語も、基本的にはすでに存在しているもののヴァリエーション
   にすぎない。」


確かにこういう見方はあるでしょうねー。音楽においてもしばしば用いられる言葉で。
ボクの意見とはまた違うんですけどねー、まぁそれはそれとして。

話を作品に戻して。
手がかりの見つけようのないタナーは、作品を読んで1つのある可能性に思い当たる。
「もしかするとこれは・・・実話なのではないか?」
そしてタナーは少しずつ、この作者の巻き込まれた事件へと引き寄せられていく・・・。

『このミステリーがすごい!』の'94版の海外部門で第3位のこの作品。これで初めてスティーヴン・グリーンリーフという作者との接触を果たしたのですが、うん、悪くはないです、さすがに。
ただ、「そこまでの傑作なのか?」という点で、周りとウチのラボとの温度差が出てしまいました・・・。
それでも合格点はクリア。ランクインは果たしました。


当ラボの研究結果は、ロビタ2号のラボの<'05 - novel>の方にUPしておきます。

by robita00 | 2005-10-09 21:33 | ┗ novel - '05