カテゴリ:┗ novel - '05( 15 )

本日の研究 【コフィンダンサー】

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本日の研材、

・『コフィンダンサー』
    ジェフリー・ディーヴァー





第1作目の『ボーン・コレクター』に続き、四肢麻痺の科学捜査専門家リンカーン・ライムを主人公とするシリーズの第2作目。

ボーンコレクター事件から1年半、ライムの元を訪れたNY市警の刑事からある依頼を受ける。それは二日後に行われる武器密売裁判で、重要証人となる3人を消す為に雇われた、ある殺し屋の正体を突き止めること。その男は”コフィンダンサー(棺の前で踊る男)”と呼ばれる男だった。

元ニューヨーク市警科学捜査部長のライム。現場鑑識中の事故で首の骨を負って以来、四肢麻痺の体となった。
そのライムの代わりに彼の手足となるのがアメリア・サックス。今回も前回に引き続き、ライムの相棒を務めてます。今作ではライムの頭脳の手助けもするほどに成長。この師弟コンビがいいです。

対するは、フリーの殺し屋”コフィン・ダンサー”。
「リコールは受けつけない」その殺し屋のあだ名の由来は、殺し屋の姿を唯一目撃した人物の証言、「腕に棺(コフィン)の前で女と踊る死神の刺青がある」、だった。
実はライムとは因縁浅からぬものがあるんですよね。まぁその辺は読んでいただくとして。

大陪審での証言まで、残り時間は45時間。アメリカ一の腕利きと噂される殺し屋が3人の証人を消すのが先か、世界最高の犯罪学者リンカーン・ライムが彼を捕らえるのが先か。
これが本作のメインストーリー。

微細証拠物件が大好物のライム。”どんなに抜け目ない犯罪者でも手を加えたりわざと置いたりしようなどまでは考えず、どんなに手間を惜しまない犯罪者でも完全に始末することのできない証拠”、それが微細証拠物件。これをもとに推理していく、その過程がやはり面白いんですよねー。「そこから取るか!」。びっくりで納得の証拠採取。すげぇ。

今回、特に伏線の張り方が巧妙で、読み進めて行くほどに色々なピースが繋がって行きます。それに「これでもか、これでもか!」とばかりに盛り上がりがやってくる。それも1つ1つがかなりのもの。
でも、はっきりいってもうちょっと逆にその辺を抑えた方が、もっとピントが絞れて良かったような気もしましたけどねー。飛行機のシーンなんか、もうそれで1つ話が作れそうな。

天才的な頭脳と、実際に動く女性という構図。最初は「『羊たちの沈黙』の2番煎じだなぁ」なんて思っていたわけですが。実際に前作、そして今作を読んでみて、その出来映えにそんなセコい考えを改めさせられました。
魅力的な設定からの脱却を図り深いところまで掘り下げて行ったトマス・ハリスに対して、同じ設定を更に突き進めて行ったジェフリー・ディーヴァー。どちらも素晴らしいけど、ボクは後者を支持していきたいと思います。

余談ではありますが、気がつけば記念すべき<300件目>の記事でした。


当ラボの研究結果は、ロビタ2号のラボの<'05 - novel>の方にUPしておきます。
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by ROBITA00 | 2005-03-10 22:09 | ┗ novel - '05 | Comments(0)

本日の研究 【野ブタ。をプロデュース / 白岩 玄】

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本日の研材、

・『野ブタ。をプロデュース』
  白岩 玄







自他共に認める人気者の高校生のオレ。学校に行けば友達が何人もまとわりついてくるし、恋の相談にかこつけて言い寄ってくる女の子もいる。そして周りが勝手に彼女だとはやしたてているのは、校内でも人気のカワイイ子。

まったくもって簡単だ。オレは”着ぐるみ”を着て「人気者の高校生」とやらを演じている。そうすれば三年間寂しくもなく、程よい人気を得て安泰に過ごせるというわけだ。

そんな居心地よくも退屈な日々の中、自分のクラスに編入生がやってきた。みんなが固唾を飲んで注目する中、入ってきたのは「気持ち悪いほどおどおどしたデブ」だった。一斉にヒくクラスメイト。やがてお決まりのイジメも始まる。

そんな時。図らずもヤンキーのイジメから助けてやったオレは、そいつに「弟子にして下さい!」と頼み込まれる。弟子って…。でも、待てよ?もしも今現在完全無視のコイツをみんなが愛する人気者に出来れば、自分のこの人を騙して動かす力は本物だな!よし、オレが<プロデューサー>となってお前を見事人気者にしてやるぜ!



周りのみんなを、自分の着ぐるみショーのお客様と思っている修二。「どいつもこいつも俺が着ぐるみ被っておちゃらけてることを知らない」。

しかし、今の人気を失って孤独感にさいなまれるのはまっぴらゴメン。

「ストーブと同じだ。近過ぎたら熱いし、離れ過ぎたら寒い。丁度良いぬくいところ。そこにいたいと思うのはそんなに悪いことか?」

そんな、自分一人ならいくらでも他人をコントロール出来る修二が、”野ブタ”こと信太(しんた)という他人を使って、どう周りをコントロールしていくのか。

全体の流れはなかなか好きです。好きな展開。修二の台詞回しも軽妙で、テンポよく読み進めます。ちょっと出だしはやり過ぎの感もありますが。

もっと今の高校生って自分には理解不能な生物だと思ってましたが、これ読んで自分達の時代とさほど変わりは無いのだな、って思いました。
まぁ、これが平均的な高校生なのかは分かりませんが。


ボクは言葉を自在に操れる≪言葉使い≫の方が大好きで。≪言葉使い≫の才能が無いボクにとってはそれは憧れの称号であり、≪魔法使い≫に等しい存在。
自分の中での2大≪言葉使い≫は、一方が<白い言葉使い>のナカムラ君、一方が<黒い言葉使い>のリリー・フランキー氏。二人が目下No.1。

他にも、松本人志さん、椎名林檎さん、松本大洋さん、伊坂幸太郎さん、ピエール瀧さん、いしわたり淳治さん、もその流れにあるんですが、その系譜に新たな新人が加わった、というカンジがします。まぁまだ先人に比べればステージは下の方ですが。
最初の方は、「ちょっとウザイか?」って思うような”青さ”が出てる気もしましたが、≪言葉使い≫の有望な新人ではあると思います。今後が楽しみだなぁ。


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by robita00 | 2005-02-09 22:06 | ┗ novel - '05 | Comments(2)

本日の研究 【荊の城 / サラ・ウォーターズ】

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本日の研材。

『 荊の城 / サラ・ウォーターズ 』



19世紀半ばのロンドン。17歳になる少女スウは、下町で掏摸を生業として暮らしていた。そんな彼女に顔見知りの詐欺師がある計画を持ちかける。とある令嬢をたぶらかして結婚し、その財産をそっくり奪い取ろうというのだ。スウの役割は令嬢の新しい侍女。スウは迷いながらも、話に乗ることにするのだが……。


デビュー作である前作『半身』が、『このミステリーがすごい!』、『週刊文春ミステリベスト10』でダブル1位に輝くという快挙をやってのけた、サラ・ウォーターズの期待の第2作目。

とはいえ『半身』を読んでいないワタクシ、英国期待の才媛の作品に何の予備知識も無く入りました。

育ての母サクスビー夫人に、まるで宝石のようにかわいがってもらった17歳のスウと、ひどく時代遅れの城館から逃れることの出来ない、同い年くらいの娘モード。二人の少女の人生が交差した時に何が起こるのか。

息子の入院中に読んでいたということもあるのか、上巻の前半部分はなかなかその世界が頭に入ってこず。「う~ん、今イチかなぁ」なんて、だらだらと読んでいたわけです。

が!
上巻半ば過ぎ、第一部(この作品は三部構成)の終りに来た時にガツンとやられました。思わず声に出しちゃった。「そう来たかぁっ!!!」

   ”よかった、とあたしは思った。
    / あたしは最初からいるのだから-いい人たちの側に。砂糖菓子のある側に。”

スウの言葉が胸に残ります。

スウの住む場所からは、ホースマンガー・レイン監獄がよく見えるんですが、そこはその頃殺人犯が屋上から吊るされる場所でした。そう、そういう場所だったんですよね…。

自分が見てる人生は、本当に自分が選んだ人生なのかな、ってことを感じさせる作品でしたかねー。

読んでいる時の引き込まれ度は途中からかなりのもんでしたし、心の奥底から滲み出る「じゅわ~っ」の分泌量もまずまず(泣きそうになったトコあるし)、かつ、「ヤラレたっ!」度が結構なポイントでしたので、当ラボでは高得点!を上げていいでしょう、うん。

当ラボの研究結果は、ロビタ2号のラボの<'05 - novel>の方にUPしておきます。
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by robita00 | 2005-01-25 21:48 | ┗ novel - '05 | Comments(2)

本日の研究 【ハンニバル / トマス・ハリス】

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本日の研材。

『 ハンニバル / トマス・ハリス 』



言わずと知れた、”レクター三部作”の掉尾を飾る作品。

『羊たちの沈黙』から7年、で、実際には11年経ってるわけですが。
『羊~』の主人公、クラリス・スターリングも32歳に。FBIアカデミーを卒業、その後も優秀な成績を納めるもののそれが故に疎まれ、妬まれる。そしてある事件により窮地に立たされてしまう。

まぁでも今作では主人公は、クラリスではなく、レクター。そしてレクターに対するメイスン・ヴァージャーの復讐劇がメインの構図となってます。裏にはクラリスとクレンドラーとの対立というのもあるのですが。

メイスンはレクターの初期の犠牲者で、彼によって人工呼吸装置によって生き延びているような有り様に。彼はもう自分では動くことも出来ないものの、豊潤な財をもってレクターを狩りにかかります。まぁレクターも紛うことなく”悪”ですが、このメイスンも”悪”いヤツなのですよねー。<悪>対<悪>。

そして、<悪>の親分、レクターには今まで以上にスポットが当たっています。
彼の脳中にある<記憶の宮殿>についてや、美食家ぶり、そして過去についても紐解かれます。そしてそれにより、レクターが何故クラリスに固執するのかという問に対する答えもここで解き明かされることに。

どのシーンもきめ細かい描写がなされているんですが、最後の晩餐のシーンに至ってはちょっと震えがきますね。「…いいの、これ」。
これ、映画化されたんですよねぇ?ちょっと外すわけにはいかないであろうシーンですが、どうやって見せたんでしょうか。映画を見てないボクにはそこが一番気になります。

あと、ブタにあんなに強暴なのがいるとは…。

トマス・ハリスは1975年にAP通信の第一線の記者から作家に転身、以後『ブラック サンデー』、『レッド・ドラゴン』、『羊たちの沈黙』、そして本作『ハンニバル』と、30年間でたった4作しか書いていないという、”超”寡作作家です。中身が濃いとはいえ、それで食って行けるのがすごい。それほどどの作品も売れてるんですねー。

かのスティーヴン・キングも、「前作を凌ぎ、『エクソシスト』と並んで20世紀に屹立する傑作」と言っておるそうです。巨匠にそこまで言わしめるとは、すごい。

が。
ボクにはちょっとコなかったなぁ。うーん。どちらかと言えば『羊~』の方が好きですねー。構図が分かり易くて、かつ魅力的だった分。

残念ながらランクインにまでは至りませんでしたねー、当ラボでは。
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by robita00 | 2005-01-17 21:50 | ┗ novel - '05 | Comments(0)

<novel - '05>

ここでは<novel - '05>の研究を発表しています。
また、みなさんのオススメがありましたら、是非ご一報下さい!

注) これはウチのラボで研究したのが今年ということであり、作品自体の発表が今年のものということではありません。

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 1. ★★★★ コフィン・ダンサー / ジェフリー・ディーヴァー
 2. ★★★★ 東京タワー オカンとボクと、時々、オトン / リリー・フランキー
 3. ★★★☆ 航路 / コニー・ウィリス (12/30)
 4. ★★★☆ 死神の精度 / 伊坂 幸太郎 (12/30)
 5. ★★★   荊の城 / サラ・ウォーターズ
 6. ★★★   小説ワンダルフライフ / 是枝 裕和
 7. ★★☆   グラスホッパー / 伊坂 幸太郎
 8. ★★☆   神は銃弾 / ボストン・テラン (12/30)
 9. ★★☆   容疑者Xの献身 / 東野 圭吾 (12/30)
10. ★★☆   震度0 / 横山 秀夫 (12/30)
11. ★★☆   匿名原稿 / スティーヴン・グリーンリーフ
12. ★★     野ブタ。をプロデュース / 白岩 玄
13. ★★    壬生義士伝 / 浅田 次郎
14. ★★    柔らかな頬 / 桐野 夏生
15. ★★    最悪 / 奥田 英朗
16. ★★    バッテリー / あさの あつこ
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by robita00 | 2005-01-14 22:35 | ┗ novel - '05 | Comments(0)