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【本日の研究】 リリー・フランキー 『東京タワー』

【本日の研究】 リリー・フランキー 『東京タワー』_a0035263_21404057.jpg<novel>

本日の研材、

『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』
  リリー・フランキー






先に読んだ、「最悪」「柔らかな頬」「神は銃弾」をすっ飛ばして、敬愛するリリー・フランキー先生の作品を。

リリー先生に出会ったのは、20歳くらいの頃。
当時バイトしていた店で<rockin'on><CROSSBEAT>を購入していて。お客さんがいない時(←ようするにほとんどの時間)の心の友として愛読していたわけです。
そして、作りでは若干劣る(失礼!)<CROSSBEAT>の、「打倒ろきのん!」の為の飛び道具、それがリリー先生だったのでした。

その頃はまだCDレビューは巻末の方にあったんですが、そこのイラストを担当していたのがリリー先生。下品さと、面白さと、可愛さが絶妙にブレンドされたそのイラストを毎月楽しみにしていました。
そのうちそこで、『リリー・フランキーの死亡遊戯』なるコラムが始まり、有害さではアスベスト級、にも関わらずボクの急所を突いてくるその<言葉使い>っぷりで、ボクを更に虜にしてくれました。
この頃から今に至るまで、<CROSSBEAT>に載ったイラストもコラムもほぼ全て切り取って保管してるくらい、大好きなのです。


さて、今回のお話はリリー先生のオカン、ママンキーが主役といっていいでしょう。「死亡遊戯」でも登場したママンキー、そこで紹介された話もちらほら混じっていて、なんだか懐かしく、なんだか嬉しい。

愛すべきオカンと、やりたい放題のオトンと、ダメダメなリリー先生。その3人が辿る、家族の軌跡。くっついたり、離れたり。そして離れてはいても皆繋がっている。「家族」ってなんなんでしょう?
で、リリー先生もいいけど、オカンがいい!オトンは・・・すごい人。
数々のエピソードが語られ、その都度「親はやっぱり親なんだなぁ・・・」って実感。おれは・・・なれるのか?ホントに?


   大きくて、柔らかくて、あたたかだったものが、ちっちゃく、かさついて、ひんやり映る
   ときがくる。
   それは、母親が老いたからでも、子供が成長したからでもない。
   きっとそれは、子供のために愛情を吐き出しつづけて風船のようにしぼんでしまった
   女の人の姿なのだ。



そう。きっとそう。
今のヨメさんみてると、ホントそう思う。全ての愛情を注ぎ込む姿。子供は母親孝行をしなきゃウソ、だよね。
そんな自分が一番してないんだけど・・・。

そして、こう続く。


   どれだけ親孝行をしてあげたとしても、いずれ、きっと後悔するでしょう。
   あぁ、あれも、これも、してあげればよかったと。



・・・間違い無い。それでもね、今からでもしなきゃなぁ、ホント。
ありがたい気持ちと、うざったい気持ちと、渾然一体となったのが母親への気持ち。
ただ、自分が死ぬときに心の底から「ありがとう」と言える、世界に三人しかいない内の一人であることは間違い無い。

この作品を読んで、久々に「声が聞きたいなぁ」、と思いました。


先生の作品では、やはり「死亡遊戯」、そして「日本のみなさんさようなら」がボクの中では双璧なんですが、今回の作品、今までとは毛色が違えどもやっぱりいいです。
前述した2作ほどの攻撃力は無いですが、初めて読む方にはいい按配なのではないでしょうか。


当ラボの研究結果は、ロビタ2号のラボの<'05 - novel>の方にUPしておきます。

by robita00 | 2005-08-29 22:44 | ┗ novel - '05