【本日の研究】 伊坂幸太郎 『グラスホッパー』

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本日の研材、

・『グラスホッパー』
    伊坂幸太郎






【鈴木】
元教師。教師を辞め、表向きは女性を勧誘し化粧品や健康飲料を勧める会社、だが実際は常用生の高い薬物を売りつけ、人攫いもするという怪しい会社で契約社員として働く。
何故なら、そこのどら息子が自分の妻を轢き殺した犯人であるから。

復讐を胸に抱き会社に潜入するものの、あっさり疑われる鈴木。そしてその疑惑を払拭する為、攫ってきた若者を殺すよう命じられる。
が、そんな時、そのどら息子が目の前で轢かれてしまう。そして鈴木は見る。現場から人影が立ち去って行くのを。そして命じられるままにその影を追う。

【鯨】
自殺をさせる専門の男。鯨を前にすると皆、絶望的な気持ちになり、生きていることが苦痛に感じられる、そんな能力を持つ。

あるホテルに男を自殺させる為にやってきていた時、彼も鈴木と同じように事故を目撃し、現場を離れる怪しい影に目を止める。そしてその存在には聞き覚えがあった。『押し屋』。ターゲットの背中を「押し」、事故に見せかけて葬る。そしてその存在は、鯨に常に付きまとう苦い思い出を呼び覚ますものであった。

【蝉】
殺し屋。依頼があれば誰でも殺す茶髪の若者。マンションの一室で営業、調査を担当する岩西という上司と、二人でこの稼業を続けている。

ある依頼先で仕事終りに何気なく観た、ガブリエル・カッソの『抑圧』。その主人公の青年に自分を重ね合わせ、人形であるかのような自分に不快感を感じ始める蝉。


3人の視点で進められて行く形式。そしてその後、3人の進む道は交差していきます。

復讐を誓うものの、気の弱さが常に前面に出てしまう鈴木、自分が自殺させた人間達が亡霊となってまとわりつき、時に現実との境までわからなくなってしまう鯨、命令を受けて人を殺しているうちに、自分が操り人形のように思えて自由を求める蝉。

「いつもの僕の小説に比べると物騒な感じのお話になりました」と著者も述べているように、今までとは少し違った風合いの作品になりましたかね?

蝉に命令をする上司、岩西。彼はジャック・クリスピンなる人を敬愛しており、何かにつけ彼の言葉を引用する。
が、この”ジャック・クリスピン”なる人物も、上で書いた”ガブリエル・カッソ『抑圧』”も、どうやら・・・のようで。伊坂氏らしい、ひねくれっぷりですなぁ、全く。
鯨の肌身離さず、繰り返し読む本、『罪と罰』。それを逆さから読むと『唾と蜜』になる、そんな着眼点もらしくていいです。

なかなかね、今回も伏線が効いてていいです。うっかり見過ごしてたもの達が集束していく様は何とも言えず爽快な気持ちにさせてくれますね。

「バカジャナイノー」。←これ、最後まで心に残りました。


当ラボの研究結果は、ロビタ2号のラボの<'05 - novel>の方にUPしておきます。
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by robita00 | 2005-04-24 14:19 | ┗ novel - '05 | Comments(0)