本日の研究 【 アメリ 】

a0035263_2318873.jpg<cinema>


本日の研材、

・ 『アメリ』
   '01仏、監督: ジャン=ピエール・ジュネ






元軍医の父と、元教師の母の間に生まれたアメリ。月に一度の父による診察にドキドキしてしまい、父から心臓病と勘違いされ学校に行けなくなり、母の元で勉強をすることに。その為、他の子供との接触を絶たれ、いつしか自分だけの<空想の世界>で過ごすように。

大人になっても空想の世界にいるアメリ。が、ある日“他人を幸福にする喜び”に目覚めて、少しづつ外の世界との折り合いをつけていこうと試みるが…。



ハハハ、これは……これはステキなお話だ。あの『デリカテッセン』の監督が、こんな愛らしくもステキな映画を作るとは。

~ネタばれもくそもありませんが、以降とりあえず内容に触れてますので、お気をつけ下さい。念のため~

ナレーションのタイミングとあの演技で、アメリの人生を変える事件っていうのはダイアナ妃死亡に関することかと思ったんですが…一瞬、まんまとミスリードされてしまいました。ちくしょう。その後何事も無かったかのようにTV消すのが腹立たしい。監督の「引っかかっちゃったの?」っていう笑顔が目に浮かぶよう。
で、本当のその”事件”というのは、自分の部屋から以前住んでいた少年が隠したと思われる宝箱を発見したということ。これを持ち主に届けてそして喜んでくれれば、<自分の世界>から飛び出せる、と。

実際にその計画は成功して、今までになく<外の世界>との繋がりを感じるアメリ。

そして、運命の出会い。駅の証明写真機のそばに這いつくばる青年。破り捨てられた証明写真を収集するその青年ニノもまた、アメリと同じく<自分の世界>の住人。彼の落とした”アルバム”を見て、<自分と同じ世界>を感じとるアメリ。

が、周りの人々を幸せにするのは得意なアメリですが、自分の事となるとからっきし。
   
   「他人と関係を結べない。子供の頃から孤独よ」

現実との対決が苦手なアメリは、恋する青年にアルバムを渡す為に一計を案じます。
が、「計画の為の計画」は結局はアメリを<自分の世界>から外に出すことにはならず…。

生まれつき骨が脆く、20年部屋でただ絵を描く”ガラス男”。彼はルノアールの絵に準えながら、アメリに<自分の世界>から出て行くことを説く。わかってはいるけどなかなか<自分の世界から>飛び出せなかったアメリの背中を優しく押してあげます。さて、恋の行方は?


数々の奇跡を起こすアメリ。現代の”メリー・ポピンズ”というカンジでしょうか。魔法使い。

母の死後、自分の殻に閉じこもってしまう父。自分の心臓病(ホントは違うんだけど)のせいで旅行に行けなかった父の為に、旅の楽しさを思い出させる。
その時の、お父さんのドワーフ(小人さん)の人形を使ったアイデアがいい!いつの間にか庭先からいなくなったドワーフが世界を旅して写真を送ってきます。混乱しちゃうお父さんがいいんですよね~。

更に、一目惚れのレシピを耳にしたアメリはそれを実行に移し、カップルをも誕生させます。

また、愛人にダンナを取られて逃げられた大家のおばさんにも、売れない小説家にも、そして、先の宝箱のおじさんにも、アメリの計画が「幸せ」を運びます。

   「会いに行くべきだな。自分が宝箱に入る前に」

会いに行ったんですねー。よかった、よかった。

一方で、いじわるなオヤジには「怪傑ゾロ」アメリが、数々のトラップを仕掛けていくんですが、それがまたセコくて、かわいくて、いいんですよねー。その偏執的なトコがいい。
子供の頃のエピソードで、隣人への復讐として、隣人がサッカーのTV中継を観ている時に得点シーンのところだけ電線を抜く、というのがあります。これは同じサッカーファンとして、とても効果的だなと思いました。これは効く…。そう、夢想家は怒らせると怖いんですよー。


監督はジャン=ピエール・ジュネ。
ガジェットを効果的に使った細部へのこだわりは、以前観た『デリカテッセン』を彷彿とさせます。いちいち効いてるんですよねー、この小技が。
カメラワークもそうですが、合ってんだか合ってないんだかよく分からない効果音が、全編を通じて気を惹きます。
そして映像がとてもきれい。あーゆー黄色っぽい映像はどうやって撮るんでしょうね。レオス・カラックス監督の『汚れた血』では、フィルム自体に着色した、っていうのを聞いたことありますが、これは撮り方の問題でしょうか?
音楽もまたよくて、今『アメリ』の曲聴きながら打ってるんですが、楽しげで哀しげで不思議なメロディーと音色。
という具合で、全ていちいち自分のツボでした。

公開一週間でいきなり120万人もの観客を動員。カンヌ映画祭に出品されなかったことに対してマスコミが事務局側の判断を揶揄し、論争を巻き起こしたほど本国では人気。映画の評判を聞いてシラク大統領までもが鑑賞したってほどですから、スゴイですねー。

日本でもご承知の通りの大ヒット。そのあまりの人気の為、当時どうにも観る気がしなかったのですが、実際に観て見たらとーっても自分好みの作品でした。そうやってこんなステキな映画を他にも沢山逃がしてるかと思うと、ホントもったいない…。
ただ、あの世界にそんなに多くの女性が共感したってのはびっくり。意外と誰もが持つ、誰にでも共感できる世界だったんですねー。ただ日本人であの髪型が似合うのは難しいんじゃないかと…。

ボクも一人っ子。やはり同じく夢想家でした。…あんなステキなもんじゃないですが。冒頭のアメリの一人遊びも、「あぁ、あんな事ばっかしてたな…」と懐かしく思い出されます。

そして、気の弱い人が言葉に詰まると教えてくれるという「プロンプター」。早くボクのとこにもきてくれないかなぁ。


ともあれ、久しぶりに自分の中での最高ランクの作品が増えました。

今回の研究結果は、ロビタ3号のラボの<cinema - '05>の方にUPしておきます。
[PR]

by robita00 | 2005-02-13 22:58 | ┗ cinema - '05 | Comments(2)

Commented by canal-city at 2005-02-14 09:43
アメリ、いいですよね~。デリカテッセンも気になります★
私は、写真機の謎の男のエピソードにグッと来ました!!
人生って、謎に満ちているようでいて、案外簡単でシンプルなんだよなっ。て、霧が晴れたようで・・・。
BSでビデオ撮り損ねたのが、残念です!
Commented by robita00 at 2005-02-14 19:26
あ、ちゃやさん、どーもですー!

『デリカテッセン』はまた全っっっ然違うタイプの話しなんで、どうかなぁ?まぁちらっと垣間見えるセンスはさすが通ずるものもありますが。
謎の男。死人じゃなかったですね、ははは!「そういうことか!」思わず膝を叩きました。
ちゃやさんのとこで好評価だったので観たんです。ありがとうございます、観てホントによかった。
ボクは『刑事ジョンブック』録り損ねた!10分前まで覚えてたのに!うぅ。
『アメリ』もDVDの録画モード”SP”で録ればよかった!今度録り直して永久保存版にします。